(番外)電磁波障害(コモンモード電流源)調査手法
ざっくりとですが、コモンモード電流に対するまとめです。
(コモンモード電流の起源)
コモン電流が発生する電源は、無線機類(アンプ)の大電流が流れる部分からです。ですから、電圧が高い真空管回路だとあまり発生することがなく、昔の真空管ファイナル時代は、このコモン電流による電波障害が問題となりませんでした。
コモン電流からの問題となったのは、最初は、工場等で大電流で動作する機器からの障害からです。その当時のアマチュア無線では、真空管ファイナルだったので、電波障害というと高調波によるTV周波数帯への影響で、ローバスフィルタ装着が主の対策方法でした。
ところが、トランジスタ半導体がファイナルとなるとコモン電流が電波障害の主体となっていきます。トランジスタ(MOS-FETも同じ)は、低電圧大電流で動作させますので、これがコモンモード電流の(電源)発電機となっています。
(コモンモードの正体)
通常の同軸ケーブル等給電線に正常に流れる電流は、ノーマルモードといって、電源から負荷への電流の往復は、お互いに同じ経路を通りますので、例え、これへ大電流が流れたとしても、平衡状態が保たれているのならば、コモンモード電流にはなり得ず、他の機器への影響はありません。
しかし、負荷の状態が適当でない場合や、給電線との整合が得られていないと平衡状態がくずれて、給電線と地面や他の金属体間との間で流れようとする電流が発生するのです。これがコモン電流そのものです。
(コモンモード電流と電圧変化)
コモンモード電流は経路途中は一定ではありません。測定箇所により常に変動しています。それには、2つの理由があります。
1つ目は、高周波電流が負荷との整合が取れていないと進行波と反射波が必ず生じるので、この干渉によって生じる定在波です。必ず、腹(電流大)と節(電流小)箇所が波長に比例して、繰り返し現れます。
2つ目は、コモン電流回路のインピーダンスの場所変化です。例えば、対地に近いのなら、低インピーダンスとなりますが、離れる場所では、高インピーダンスとなります。これによっても流れる電流値は違います。
(平行給電線の特性インピーダンスがその線間距離で決まり、近いと低く、離れると高くなるのと同じ。)
(コモンモード電流測定)
実際にはコモン電流を測定することは難しいのですが、今は簡単な測定器が市販されています。同様な自作でもOKです。 それが無ければ、コモンモード対策は大変な手間となります。
簡易コモン電流計の販売元
https://www.ddd-daishin.co.jp/e-kousaku/d-rf-current/ver2/
最新はこちら
https://www.ddd-daishin.co.jp/e-kousaku/d-rf-current/ver3/v3-index.htm
実際測定しているのは、コモン電流によって生じている電圧値(それを1/10で電流値に読み替える)ですが、ある測定点情報として、測定するには全く問題ありません。
※詳しい解説は、この開発者山村英穂氏の著書「定本トロイダルコア活用百科」を参考に※
(本論)コモンモード電流測定とその対策
さて、ここからはコモン電流測定の実践です。基準は、一番の供給元である無線機(アンプ)のRF端子(M接栓)の端で測定する電流値です。この電流値が、5mA(ミリアンペア)以下なら問題ありません。(できるなら1mA以下を)
問題は、これが10mA以上となっている場合で、この場合には、コモン電流による影響がどこかに出ている怖れがあることを認識しなければなりません。
その場合は、今度はリターン側で無線機に戻る端子についての測定をします。例えば、PCとの接続線(メタル線のことで光接続は関係なし)で、オーディオケーブル、RS-232C、最近だとUSBケーブル、LANケーブルなどです。これらも5mAを超える部分を測定で抽出します。
さらに容量結合、誘導結合他で影響が考えられる室内にある無線機と直接結合していないケーブルについても全て、当たります。
例、ローテータケーブル(アンテナマッチング用ケーブルも同様)
タワー昇降信号ケーブル、保安アース線
100/200V電源ケーブル(無線機の電源線も含む)
※測定するとわかりますが、これらにもかなりのコモン電流が流れている場合が多い。
インピーダンスが低い箇所ならば、7MHzの場合だとパッチンコア10個(30~40μH)程度でも、ある程度効果を得られますが、コモン電流伝送路自体がハイインピーダンスであるとほとんど効果が得られません。
※コアで対策をしても障害が無くならない場合は、たいがいこのケースで、もっとコアを増やすか、低インピーダンスとなる場所を探して、そこで対策する方法です。
※ただ、運用周波数でその場所は都度変わるので、結局、面倒でも、コア個数をもっと大幅に増やすか1コア当たりの巻き数を増やし(4Tあたりが限度)てインダクタンスを稼ぐのが正攻法です。
それらを実践してHP記事で公開したのが「コモンモード実験室」
https://jo3krp2.seesaa.net/tag/%E3%82%B3%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%89%E5%AE%9F%E9%A8%93%E5%AE%A4
となります。個々の対策の詳細はそちらをご覧ください。
(コモンモード電流の起源)
コモン電流が発生する電源は、無線機類(アンプ)の大電流が流れる部分からです。ですから、電圧が高い真空管回路だとあまり発生することがなく、昔の真空管ファイナル時代は、このコモン電流による電波障害が問題となりませんでした。
コモン電流からの問題となったのは、最初は、工場等で大電流で動作する機器からの障害からです。その当時のアマチュア無線では、真空管ファイナルだったので、電波障害というと高調波によるTV周波数帯への影響で、ローバスフィルタ装着が主の対策方法でした。
ところが、トランジスタ半導体がファイナルとなるとコモン電流が電波障害の主体となっていきます。トランジスタ(MOS-FETも同じ)は、低電圧大電流で動作させますので、これがコモンモード電流の(電源)発電機となっています。
(コモンモードの正体)
通常の同軸ケーブル等給電線に正常に流れる電流は、ノーマルモードといって、電源から負荷への電流の往復は、お互いに同じ経路を通りますので、例え、これへ大電流が流れたとしても、平衡状態が保たれているのならば、コモンモード電流にはなり得ず、他の機器への影響はありません。
しかし、負荷の状態が適当でない場合や、給電線との整合が得られていないと平衡状態がくずれて、給電線と地面や他の金属体間との間で流れようとする電流が発生するのです。これがコモン電流そのものです。
(コモンモード電流と電圧変化)
コモンモード電流は経路途中は一定ではありません。測定箇所により常に変動しています。それには、2つの理由があります。
1つ目は、高周波電流が負荷との整合が取れていないと進行波と反射波が必ず生じるので、この干渉によって生じる定在波です。必ず、腹(電流大)と節(電流小)箇所が波長に比例して、繰り返し現れます。
2つ目は、コモン電流回路のインピーダンスの場所変化です。例えば、対地に近いのなら、低インピーダンスとなりますが、離れる場所では、高インピーダンスとなります。これによっても流れる電流値は違います。
(平行給電線の特性インピーダンスがその線間距離で決まり、近いと低く、離れると高くなるのと同じ。)
(コモンモード電流測定)
実際にはコモン電流を測定することは難しいのですが、今は簡単な測定器が市販されています。同様な自作でもOKです。 それが無ければ、コモンモード対策は大変な手間となります。
簡易コモン電流計の販売元
https://www.ddd-daishin.co.jp/e-kousaku/d-rf-current/ver2/
最新はこちら
https://www.ddd-daishin.co.jp/e-kousaku/d-rf-current/ver3/v3-index.htm
実際測定しているのは、コモン電流によって生じている電圧値(それを1/10で電流値に読み替える)ですが、ある測定点情報として、測定するには全く問題ありません。
※詳しい解説は、この開発者山村英穂氏の著書「定本トロイダルコア活用百科」を参考に※
(本論)コモンモード電流測定とその対策
さて、ここからはコモン電流測定の実践です。基準は、一番の供給元である無線機(アンプ)のRF端子(M接栓)の端で測定する電流値です。この電流値が、5mA(ミリアンペア)以下なら問題ありません。(できるなら1mA以下を)
問題は、これが10mA以上となっている場合で、この場合には、コモン電流による影響がどこかに出ている怖れがあることを認識しなければなりません。
その場合は、今度はリターン側で無線機に戻る端子についての測定をします。例えば、PCとの接続線(メタル線のことで光接続は関係なし)で、オーディオケーブル、RS-232C、最近だとUSBケーブル、LANケーブルなどです。これらも5mAを超える部分を測定で抽出します。
さらに容量結合、誘導結合他で影響が考えられる室内にある無線機と直接結合していないケーブルについても全て、当たります。
例、ローテータケーブル(アンテナマッチング用ケーブルも同様)
タワー昇降信号ケーブル、保安アース線
100/200V電源ケーブル(無線機の電源線も含む)
※測定するとわかりますが、これらにもかなりのコモン電流が流れている場合が多い。
インピーダンスが低い箇所ならば、7MHzの場合だとパッチンコア10個(30~40μH)程度でも、ある程度効果を得られますが、コモン電流伝送路自体がハイインピーダンスであるとほとんど効果が得られません。
※コアで対策をしても障害が無くならない場合は、たいがいこのケースで、もっとコアを増やすか、低インピーダンスとなる場所を探して、そこで対策する方法です。
※ただ、運用周波数でその場所は都度変わるので、結局、面倒でも、コア個数をもっと大幅に増やすか1コア当たりの巻き数を増やし(4Tあたりが限度)てインダクタンスを稼ぐのが正攻法です。
それらを実践してHP記事で公開したのが「コモンモード実験室」
https://jo3krp2.seesaa.net/tag/%E3%82%B3%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%89%E5%AE%9F%E9%A8%93%E5%AE%A4
となります。個々の対策の詳細はそちらをご覧ください。
この記事へのコメント
先のコメントに書いた注意点は、下記リンク記事を見てください。
CD78用ラインフィルタ作成時の注意点の記載
https://jo3krp2.seesaa.net/article/202207article_6.html
いろいろなところでラインフィルタの件を書いていますので、詳しい説明を端折った記事もあるので、そこだけご覧になって誤解されていると申し訳ないので、念押しで紹介しています。
理由は、両方向で直流分を打ち消しあわないとそれによる直流励磁によって、せっかくのインダクタンスが減少します。往復で必ず+と-の組み合わせて励磁電流をキャンセルするに電流を流す必要があるのです。(直流の場合)
CD78の場合だと6芯で一つが共通電源線+12Vで残りは、リレー切替のためにどれか1本の線でリターン(0V)してくる仕様となっていました。330Vのリレー切替はどうなっていますか?配線図で確認してください。
読ませていただきました、勉強になりますありがとうございます。
電流は調べないといけないので、大進に頼んでおります。今日来るかな?
アンテナコントロール線についてはしっかりしたフィルタを入れててみようと思います、これも大進無線に作成方法等書いてありましたのでフェライトコアを3段にしてケーブルを巻いて製作してみます。ただ7芯ありますので、2芯・2芯・3芯で3段のものを3個作ろうと思ってます。巻くときには細いケーブルでないといけないので、3個パラにします。
JK4JMO