インターネット遠隔無線局開発(61)Update(2)回線品質低下時観測波形&「最終運用形」【完結】
改善報告(2)の最終となる記事部分です。今回はデジタル信号の弱点とも言える部分に注目しています。それは、スーパーヘテロダイン方式の受信機と同様のイメージ信号による妨害です。また、回線品質が悪くなると急に歪が発生するところは、今のDSP処理で微弱信号の処理とほとんど同じ症状になります。
ですから、一概にデジタル化したら、高品質での音声伝送ができるわけではないことを認識して欲しいのです。そのような場合は、アナログ信号での伝送の方が優れている場合もあるということです。
特にCW信号は、その傾向が強く現れると思っています。
また、CW信号の場合の音声遅延はその電波をモニターしながらのキーイング操作においては、10ミリ秒以下となる必要があります。
※別宅無線局のリモート運用の(最終形)は、音声とCW操作は、RRC-1258MKⅱを使うことを選択しました。(付記)を参照
(本論)
7 NETDUETTO利用でのネット回線音声品質低下の原因について
前回の、画面7及び8の波形観測は、ネット回線が安定した状況において測定したもので、言わば、安定した好条件時の測定値によるものです。
次の事例は、わざとネットの伝送条件を悪くして、ネット回線上のパケットがロスすることで発生する音声信号の歪み波形を観測したものです。

(画面9 周波数スイープ時にわかる折り返し雑音の発生状況)

(画面10 折り返し信号発生時のIMD特性の波形状況)
これらの発生原因は、ネット回線上発生するパケットロスが主な原因で、それに関係して発生する折り返し雑音(歪み)であると思っています。
折り返し雑音とは?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8A%98%E3%82%8A%E8%BF%94%E3%81%97%E9%9B%91%E9%9F%B3
画面9は、ネット回線だけの周波数特性を観測するために、発信周波数を20Hzから20KHzまでスイープしています。この時の基本波(緑線の盛り上がり)は、9KHz付近にある状態です。
この発信信号は、低い周波数からだんだんと発信周波数を高くスイープしていくために画面の左側から右方向に移動しているのですが、折り返し雑音が発生すると逆に高い周波数から下に降りてくる信号(画面では、13KHz付近)が見えてきます。また、本来でしたら、この状態では、9KHz信号だけ表示しているはずなのですが、9KHzから両側に広がる多くの余分な周波数成分が現れているのが判ります。この状態が、パケットロスの発生によるNETDUETTOソフト上で発生している音声の歪み成分なのです。
次に、画面10は発信周波数1KHzと1.25KHzとの2信号に加えて、ネット回線上で音声歪みが発生した状況で測定した場合のIMD歪みの状態です。基本波を中心として相当広範囲に歪み信号が発生しています。この音声信号を耳で直接聴いた場合にも歪みがはっきりと判ります。
この問題を避ける意味では、今回のようにPC性能やネット環境のぎりぎり状態まで遅延時間を少なくすることは、決して得策ではありません。今後、NETDUETTOソフト側の改良により、この問題を低減できることも不可能ではないのでしょうが、デジタル信号からアナログ信号の復調する場合の、折り返し雑音問題は原理的に発生するものなので、今のところは、これを承知の上で使用しています。
※QSO中に音声の歪みのご指摘を受けた場合には、この説明をしています。
8 おわりに
上記の説明のとおり、ネット回線上の音声遅延時間を短くすることで、自分の電波状態を同時監視することができ、かつ、手元無線機のダイヤル操作によっての周波数変更とネット経由で届く受信音声との時間ずれは、ほぼ無くなるため、あたかも手元の無線機で交信している状況を作り出すことは十分可能となりました。
その一方、PC性能やネット環境の限界に近づくにつれて、パケットロス等による音声歪みの発生という、別の厄介な問題が発生してしまうことを今回報告しました。
今後もこの問題を解決するために様々な情報を活用しながら、少しでも改善できるようにさらなる試行・実験に取り組みたいと思っています。
(付記)
一番最終形の完成版としたのは、無線機制御は、実際の無線機を手元操作とし、その中継に【HamRadioDeluxe】を介して行いました。そして、音声とCW操作については、(見出しでも書きましたように)【RRC-1258MKⅱ】のIP電話機能とCW信号発生・伝送機能を活用しています。
こちらについては、音声遅延では、20~30ミリ秒と若干遅れますが、ネット内のパケットの伝送速度で生じた時間的なジッタは、そのプロトコルで回避されることから、音声は自然なものになります。また、CWは手元側にCWトーン発信器があるので、そちらの音を聞きながらキーイングすれば、遅延問題はありません。
さらに、音声回線等の接続/切断が、手元のマイクにあるUPボタン操作の1ショットでできる部分は、一番助かった部分です。
※IP電話機のように相手番号をプッシュする必要はありません。あたかも音声の専用回線が常にあるというイメージで使えるのが便利でした。
ですから、一概にデジタル化したら、高品質での音声伝送ができるわけではないことを認識して欲しいのです。そのような場合は、アナログ信号での伝送の方が優れている場合もあるということです。
特にCW信号は、その傾向が強く現れると思っています。
また、CW信号の場合の音声遅延はその電波をモニターしながらのキーイング操作においては、10ミリ秒以下となる必要があります。
※別宅無線局のリモート運用の(最終形)は、音声とCW操作は、RRC-1258MKⅱを使うことを選択しました。(付記)を参照
(本論)
7 NETDUETTO利用でのネット回線音声品質低下の原因について
前回の、画面7及び8の波形観測は、ネット回線が安定した状況において測定したもので、言わば、安定した好条件時の測定値によるものです。
次の事例は、わざとネットの伝送条件を悪くして、ネット回線上のパケットがロスすることで発生する音声信号の歪み波形を観測したものです。

(画面9 周波数スイープ時にわかる折り返し雑音の発生状況)

(画面10 折り返し信号発生時のIMD特性の波形状況)
これらの発生原因は、ネット回線上発生するパケットロスが主な原因で、それに関係して発生する折り返し雑音(歪み)であると思っています。
折り返し雑音とは?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8A%98%E3%82%8A%E8%BF%94%E3%81%97%E9%9B%91%E9%9F%B3
画面9は、ネット回線だけの周波数特性を観測するために、発信周波数を20Hzから20KHzまでスイープしています。この時の基本波(緑線の盛り上がり)は、9KHz付近にある状態です。
この発信信号は、低い周波数からだんだんと発信周波数を高くスイープしていくために画面の左側から右方向に移動しているのですが、折り返し雑音が発生すると逆に高い周波数から下に降りてくる信号(画面では、13KHz付近)が見えてきます。また、本来でしたら、この状態では、9KHz信号だけ表示しているはずなのですが、9KHzから両側に広がる多くの余分な周波数成分が現れているのが判ります。この状態が、パケットロスの発生によるNETDUETTOソフト上で発生している音声の歪み成分なのです。
次に、画面10は発信周波数1KHzと1.25KHzとの2信号に加えて、ネット回線上で音声歪みが発生した状況で測定した場合のIMD歪みの状態です。基本波を中心として相当広範囲に歪み信号が発生しています。この音声信号を耳で直接聴いた場合にも歪みがはっきりと判ります。
この問題を避ける意味では、今回のようにPC性能やネット環境のぎりぎり状態まで遅延時間を少なくすることは、決して得策ではありません。今後、NETDUETTOソフト側の改良により、この問題を低減できることも不可能ではないのでしょうが、デジタル信号からアナログ信号の復調する場合の、折り返し雑音問題は原理的に発生するものなので、今のところは、これを承知の上で使用しています。
※QSO中に音声の歪みのご指摘を受けた場合には、この説明をしています。
8 おわりに
上記の説明のとおり、ネット回線上の音声遅延時間を短くすることで、自分の電波状態を同時監視することができ、かつ、手元無線機のダイヤル操作によっての周波数変更とネット経由で届く受信音声との時間ずれは、ほぼ無くなるため、あたかも手元の無線機で交信している状況を作り出すことは十分可能となりました。
その一方、PC性能やネット環境の限界に近づくにつれて、パケットロス等による音声歪みの発生という、別の厄介な問題が発生してしまうことを今回報告しました。
今後もこの問題を解決するために様々な情報を活用しながら、少しでも改善できるようにさらなる試行・実験に取り組みたいと思っています。
(付記)
一番最終形の完成版としたのは、無線機制御は、実際の無線機を手元操作とし、その中継に【HamRadioDeluxe】を介して行いました。そして、音声とCW操作については、(見出しでも書きましたように)【RRC-1258MKⅱ】のIP電話機能とCW信号発生・伝送機能を活用しています。
こちらについては、音声遅延では、20~30ミリ秒と若干遅れますが、ネット内のパケットの伝送速度で生じた時間的なジッタは、そのプロトコルで回避されることから、音声は自然なものになります。また、CWは手元側にCWトーン発信器があるので、そちらの音を聞きながらキーイングすれば、遅延問題はありません。
さらに、音声回線等の接続/切断が、手元のマイクにあるUPボタン操作の1ショットでできる部分は、一番助かった部分です。
※IP電話機のように相手番号をプッシュする必要はありません。あたかも音声の専用回線が常にあるというイメージで使えるのが便利でした。
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