F/B追及【汎用型】HB9CVアンテナ・ビーム反転切替(1)逆方向特性【完結】:前後切替リレー用PoC回路実装モデル
今回は、前回のF/B追及モデルを前後反転させた場合の特性について、紹介します。今回は、途中説明に具体的なリレー切替回路についても述べています。このアンテナを試作される場合には、是非、実現して欲しい回路です。この回路を使えば、わざわざ、リレー制御線を両エレメントの給電部に配線することが不要で、見映えもスッキリとします。
※通信信号と電源の重畳(動作原理)
https://www.steptechnica.com/tech/report/tr002.pdf
カメラ等映像信号とそれへの電源を同軸ケーブルで一緒に伝達する方式で、狭帯域RF周波数のみ対応でなら、回路はもっとシンプルな回路で対応可能です。昔のアナログ電子回路の設計例には、一般的にあったのですが、最近のネット情報では、ヒットしませんでした。その回路名称を忘れているのが、原因だと思います。
〈本論〉
(6m高の場合)
1.アンテナ定義

ビーム方向転換部は、
① 給電点の位相 W1c:45°(又は、W2c:-45°)
② 集中定数
W1c:0.01μH →コイル影響を無くするようリレーでコイル両端を短絡状態
W2c:2.7μH →エレメント長を後部となるようにリレー端子開放してコイルにて延長
※今まで説明しませんでしたが、リレー切替(+12V,0V)ラインは、給電同軸ケーブルに直流電流を重畳する方法です。従って、余計な制御線を用意する必要はありません。そのための回路が送信側に必要です。そして、アンテナ側では、高周波から切り離すためのRFC(高周波チョーク)が余計に必要です。どちらもアマチュアレベルで工作できる簡単な回路です。
2.アンテナ形状と電流分布

地表ラジアルは、原点位置です。各エレメントから真上に上がる放射成分を強めることは出来ません。しかし、前後のパターンを均一化することを重視しています。
3.計算

No.49は、自由空間の場合で、相対利得Gh:3.34dBdは、改良前の3.49dBdからは、-0.15dB減少です。F/B:-4.90(元:-6.23)dBとなって、1.33dBとここでは悪化します。
No.50は、都会地の大地で、Ga:7.26(7.26)dBiと全く同じ、F/B:-15.55(-16.59)dBと1.04dB悪化
No.51は、都会地+5m×12本の地表ラジアルをエレメント間の中間位置です。絶対利得Ga:8.31(8.36)dBiと-0.05dB差(ほぼ同等)、F/Bは、-22.08(-23.15)dBと1.07dB悪化です。
※但し、F/Bは、どちらも正しい計算方法ではありません。次のパターンでの評価をお願います。
4.パターン

No.51のパターン図です。主ビームの仰角は、49.0°(元は50.0°)と-1.06°低角度ですが、現実は、この差を感じることはできないと思います。
(参考、【一般形】HB9CVの前後逆転パターン)

5.考察と課題
ここでも課題は、リアル大地における給電点インピーダンスです。
No.50,No.51ともに
Z=-2.060-j49.284(Ω)
この値は、これらの大地状態での個々の計算ではありません。完全導体大地状態における計算結果です。ですから、元から、現実のものではありません。しかし、実抵抗(放射抵抗)が、マイナス値を取ることは、MMANA(miniNEC)自体の計算アルゴリズムに問題があると思います。ただ、どこでこの計算となっているかの検証までは、出来ません。
参考とするのは、前回の順方向の計算結果です。Z=20.830+j44.681(Ω)となっていることから、予測できるのは、
Z=20~21-j40~50(Ω)当たりだと思われます。
逆方向特性は、どちらも順方向特性を後方となるエレメントのコイル数値だけで調整したものです。その他は、何も変更はありません。そして、前後方向で独立したコイルのインダクタンス値が設定できるところは逆向きだけでの微調整ができる点で、【準対称形】モデルや【純対称形】DP列方式よりも優れているところだと思います。
ただ、余計なコイルを入れる必要があるために利得Gaは、少し低下することを許容する必要があります。また、今回は、7.1MHzピンポイントだけの評価です。7MHzバンド全体で見たSWR1.5以下とする動作帯域幅での評価でも、コイル入りは、やや不利と言えるかもしれません。
※現実モデルにて評価をするとこのコイル追加モデルの実力は、より明確なものとなるでしょう。
ここでは、MMANA設計だけの評価に留めておきます。これで、【汎用型】HB9CV方式アンテナのλ/8間隔におけるモデルは完結とします。
(予告)
次回からは、【純対称形】DP列での絶対利得Ga優先とF/B優先モデルで設計した場合の各特性の違いを探求してみる予定です。
※通信信号と電源の重畳(動作原理)
https://www.steptechnica.com/tech/report/tr002.pdf
カメラ等映像信号とそれへの電源を同軸ケーブルで一緒に伝達する方式で、狭帯域RF周波数のみ対応でなら、回路はもっとシンプルな回路で対応可能です。昔のアナログ電子回路の設計例には、一般的にあったのですが、最近のネット情報では、ヒットしませんでした。その回路名称を忘れているのが、原因だと思います。
〈本論〉
(6m高の場合)
1.アンテナ定義
ビーム方向転換部は、
① 給電点の位相 W1c:45°(又は、W2c:-45°)
② 集中定数
W1c:0.01μH →コイル影響を無くするようリレーでコイル両端を短絡状態
W2c:2.7μH →エレメント長を後部となるようにリレー端子開放してコイルにて延長
※今まで説明しませんでしたが、リレー切替(+12V,0V)ラインは、給電同軸ケーブルに直流電流を重畳する方法です。従って、余計な制御線を用意する必要はありません。そのための回路が送信側に必要です。そして、アンテナ側では、高周波から切り離すためのRFC(高周波チョーク)が余計に必要です。どちらもアマチュアレベルで工作できる簡単な回路です。
2.アンテナ形状と電流分布
地表ラジアルは、原点位置です。各エレメントから真上に上がる放射成分を強めることは出来ません。しかし、前後のパターンを均一化することを重視しています。
3.計算
No.49は、自由空間の場合で、相対利得Gh:3.34dBdは、改良前の3.49dBdからは、-0.15dB減少です。F/B:-4.90(元:-6.23)dBとなって、1.33dBとここでは悪化します。
No.50は、都会地の大地で、Ga:7.26(7.26)dBiと全く同じ、F/B:-15.55(-16.59)dBと1.04dB悪化
No.51は、都会地+5m×12本の地表ラジアルをエレメント間の中間位置です。絶対利得Ga:8.31(8.36)dBiと-0.05dB差(ほぼ同等)、F/Bは、-22.08(-23.15)dBと1.07dB悪化です。
※但し、F/Bは、どちらも正しい計算方法ではありません。次のパターンでの評価をお願います。
4.パターン
No.51のパターン図です。主ビームの仰角は、49.0°(元は50.0°)と-1.06°低角度ですが、現実は、この差を感じることはできないと思います。
(参考、【一般形】HB9CVの前後逆転パターン)
5.考察と課題
ここでも課題は、リアル大地における給電点インピーダンスです。
No.50,No.51ともに
Z=-2.060-j49.284(Ω)
この値は、これらの大地状態での個々の計算ではありません。完全導体大地状態における計算結果です。ですから、元から、現実のものではありません。しかし、実抵抗(放射抵抗)が、マイナス値を取ることは、MMANA(miniNEC)自体の計算アルゴリズムに問題があると思います。ただ、どこでこの計算となっているかの検証までは、出来ません。
参考とするのは、前回の順方向の計算結果です。Z=20.830+j44.681(Ω)となっていることから、予測できるのは、
Z=20~21-j40~50(Ω)当たりだと思われます。
逆方向特性は、どちらも順方向特性を後方となるエレメントのコイル数値だけで調整したものです。その他は、何も変更はありません。そして、前後方向で独立したコイルのインダクタンス値が設定できるところは逆向きだけでの微調整ができる点で、【準対称形】モデルや【純対称形】DP列方式よりも優れているところだと思います。
ただ、余計なコイルを入れる必要があるために利得Gaは、少し低下することを許容する必要があります。また、今回は、7.1MHzピンポイントだけの評価です。7MHzバンド全体で見たSWR1.5以下とする動作帯域幅での評価でも、コイル入りは、やや不利と言えるかもしれません。
※現実モデルにて評価をするとこのコイル追加モデルの実力は、より明確なものとなるでしょう。
ここでは、MMANA設計だけの評価に留めておきます。これで、【汎用型】HB9CV方式アンテナのλ/8間隔におけるモデルは完結とします。
(予告)
次回からは、【純対称形】DP列での絶対利得Ga優先とF/B優先モデルで設計した場合の各特性の違いを探求してみる予定です。
この記事へのコメント
【ガンママッチング】と【オメガマッチング】
https://jo3krp2.seesaa.net/article/516262488.html
ここでは、元がガンママッチングだと仮定しますと ωマッチングにするにはブームとの交点とマッチングエレメント間にもう一つ可変コンデンサーを設けなければならないです。
マッチング形式はどれでも同じように働きます。50Ω以下のインピーダンスを50Ωに持ち上げているだけなので、ωマッチでも良いのですが、コンデンサーという部品が一つ増えることのメリットは、50MHzのような高い周波数では見出せません。
メーカー製のとおりに元のガンママッチング(直列Cが1個)でよいのでは?