標準GPアンテナを地表すれすれに設置動作シミュレーション(1)基本特性と同一大地条件での改善パターン

 今回は先に通常の4本のラジアル電線の高さを1m以下として、長さをλ/4×0.6とした場合をMMANAで再現してみます。

 ただし、MMANA(MiniNEC)の限界は、地上に近くなると正しい給電点インピーダンスを計算できないとなっています。しかし、大地反射の計算は正しくできます。放射パターンが正しいのであれば、アンテナは正常に動作できていると判断します。

(本論)
1.アンテナ定義
OnGroundGP_std_Radial_010.PNG
 放射器側は、10.2mと誘導リアクタンスを低下させるため短くなりました。
※給電点高さが(7MHzのとき)1m以下の場合、ある閾値(1.7~1.8mあたりで、GP線長で異なります。)よりも地面に近くなると急に誘導リアクタンスとなります。次の電流分布にその現象が現れます。

2.アンテナ形状と電流分布
① 地上1m高におけるλ/4より短い場合
OnGroundGP_std_Radial_025.PNG
GP線の長さがλ/4よりも短い場合の給電点インピーダンスのうち、JX側の値は大きくマイナス値(容量性)となっているのが通常の動作です。この場合は、放射器とGP線ともに正弦波分布しますが、給電点の電流波高値は低くなっています。

② 地上0.1m高におけるλ/4×0.6倍あたりの場合
OnGroundGP_std_Radial_020.PNG
 地面に極端に近くなると一気に給電点インピーダンスはプラス値(誘導性)となります。この状態が地表近くのGP線動作を示しています。電流分布で見ると給電点の放射器及びGP線ともに電流波高値が大きくなる一方、GP線側では先端まで正弦波的な電流分布がなくなります。これより先はリアクタンス(コイル)となって電流が流れない状態となると判断しています。

3.計算
OnGroundGP_std_Radial_030.PNG
No.1は、自由空間の場合で、Z≒19-j128[Ω]は、前項の①状態を示します。しかし、絶対利得Ga:1.54dBi(相対Gh:-0.61dBd)は悪い値とは言えません。(前回のλ/4長GPを参照)

No.2は、MMANA標準大地(都会地)の場合で、絶対利得Ga:-1.97dBiは垂直アンテナとして不良です。少なくとも3dBi近くの利得が正常動作できる標準値となります。

No.3は、地面のアース状況を改善するために地表ラジアル5m×12本を給電点を中心として、アンテナ直下に敷設した場合です。この場合はGa:2.43dBi(λ/4の1m高だと1.82dBi)は、+0.61dB増ですが、まだ、標準値3dBiには達していません。

 RとjXで見たアンテナ動作は、自由空間の場合約R:19Ω(20Ω)、実際の大地状態だと約R:36Ω(λ/4:37Ω)は、正常なアンテナ動作とみることができます。今回の絶対利得が低い原因は大地の電気定数にあるとみています。

4.パターン
OnGroundGP_std_Radial_040.PNG
 地上高0.1mの場合での打上角24.9°(λ/4:25.5°)は垂直アンテナの低角度放射の代表例です。DX向けの典型的な放射パターンです。ただ、その動作での問題は、Ga:2.43dBi(3dBi標準比較だと)-0.57dBと少しだけ低くなっているところです。

5.高さと地面電気定数を変えないでGaを改善した場合のパターン
OnGroundGP_std_Radial_045.PNG
 Ga:4.35dBi(λ/4:4.36dBi)とそのときの仰角:13.4°(λ/4:13.9°)がMMANA上では実現できます。 
 前回と同じくMMANAの設定だけで先の「地表ラジアル5m×12本」と同一条件の設定を確保しながら、この大地状態を再現することができます。理想のGPアンテナとしては、このパターンが望ましい動作です。
※実際の大地上で実現は今のところできません。あくまで、MiniNECの計算ルーチンだけのマジックです。

この記事へのコメント

ラベルリスト

最近のコメント