ΔLOOP形ラジアルGPアンテナを地表すれすれに設置(1)基本特性と同一大地条件での改善パターン
Δ(Delta)LOOP形状としたラジアル(GP線)を持つGPアンテナに対して、前回の標準タイプの4本ラジアルGPアンテナと同じように地面に極度に近づける動作をMMANAでのシミュレーションです。
なお、過去の実験では、このLOOP線長よりも短かったことにより、非共振タイプのアース線として動作したために今回のモデルとは動作が異なっています。
ここでは、本来ならλ/4長(7MHzでは、高さ1m高以上の場合)必要とするラジアル長が、地面が持つ誘電率の働きにより、波長短縮がされて、短いラジアルでも動作するようになるという仮説の検証をLOOP形状でも有効となることを確かめています。
今回の比較対象は、以前公開した1m高における同形式GPアンテナの場合とします。地上高の低下により、各特性においてメリット/デメリットがあるのか?を探るためです。ただ、設置面積を考えますと今回のΔLOOPのほうが、圧倒的に場所をとりません。
(本論)
1.アンテナ定義

MMANA画面では、全行表示できないことからテキスト形式での表示としました。以前の地上1m高との違いは、Δの全長は、λ×0.27→1m高の全長×約半分となっているところです。
また、放射器側は10.44→10.2mと誘導リアクタンスを低下させるため短くしました。
2.アンテナ形状と電流分布
① 地上1m高におけるΔ線長がλ×0.27あたりの場合

Δ線の長さがλ/2よりも短い場合の給電点インピーダンスは、大きくマイナス値(容量性)となっているのが通常の動作です。この場合は、放射器の正弦波分布の給電点の電流波高値は低くなっています。Δ線側は、もっと電流分布は極端に低くなります。
② 地上0.1m高におけるΔ線長がλ×0.27倍あたりの場合

地面に極端に近くなると一気に給電点インピーダンスはプラス値(誘導性)となります。この状態が地表近くのΔLOOP形状の正しいアンテナ動作を示しています。電流分布で見ると給電点の放射器及びΔ線ともに電流波高値が大きくなる一方、Δ線側では先端まで正弦波的な電流分布がなくなります。これより先はリアクタンス(コイル)となって電流が流れない状態となると判断しています。
3.計算

No.5は、地上高1mに設置の場合で、Z≒33-j85.7[Ω]は、前項の①状態を示します。これは、MMANA標準大地(都会地)の状態なので絶対利得Ga:-1.91dBi(No.7と同等)です。
No.6は、自由空間の場合、Z≒18-119[Ω]とかなり容量リアクタンスで、各エレメントが短すぎることを意味します。相対利得-0.54dBd(Ga:1.61dBi)は、λ/4ラジアルGPのGh:-0.69dBd(Ga:1.46dBi)より少しだけ良好です。
No.7は、MMANA標準大地(都会地)の場合で、絶対利得Ga:-1.91dBiは垂直アンテナとして不良です。少なくとも3dBi近くの利得が正常動作できる標準値となります。
No.8は、地面のアース状況を改善するために地表ラジアル5m×12本を給電点を中心として、アンテナ直下に敷設した場合です。この場合はGa:2.47dBi(1m高だと2.21dBi)は、+0.26dB増ですが、まだまだ、標準値3dBiに達していません。
RとjXで見たアンテナ動作は、自由空間の場合約R:18Ω(1m高:21Ω)、実際の大地状態だとR:約36Ω(1m高:約38Ω)は、正常なアンテナ動作とみることができます。今回の絶対利得が低い原因は大地の電気定数にあるとみています。
4.パターン

地上高0.1mの場合での打上角24.9°(1m高:25.4°)は垂直アンテナの低角度放射の代表例です。DX向けの典型的な放射パターンです。ただ、その動作での問題は、Ga:2.47dBi(3dBi標準比較だと)-0.53dBと少しだけ低くなっているところです。
5.高さと地面定数を変えないでGaを改善した場合のパターン

Ga:4.37dBi(1m高:4.36dBi)とそのときの仰角:13.4°(λ/4:13.7°)がMMANA上では実現できます。
前回と同じくMMANAの設定だけで先の「地表ラジアル5m×12本」と同一条件の設定を確保しながら、この大地状態を再現することができます。理想のGPアンテナとしては、このパターンが望ましい理想形です。
※実際の大地上で実現は今のところできません。あくまで、MiniNECの計算ルーチンだけのマジックです。
なお、過去の実験では、このLOOP線長よりも短かったことにより、非共振タイプのアース線として動作したために今回のモデルとは動作が異なっています。
ここでは、本来ならλ/4長(7MHzでは、高さ1m高以上の場合)必要とするラジアル長が、地面が持つ誘電率の働きにより、波長短縮がされて、短いラジアルでも動作するようになるという仮説の検証をLOOP形状でも有効となることを確かめています。
今回の比較対象は、以前公開した1m高における同形式GPアンテナの場合とします。地上高の低下により、各特性においてメリット/デメリットがあるのか?を探るためです。ただ、設置面積を考えますと今回のΔLOOPのほうが、圧倒的に場所をとりません。
(本論)
1.アンテナ定義
MMANA画面では、全行表示できないことからテキスト形式での表示としました。以前の地上1m高との違いは、Δの全長は、λ×0.27→1m高の全長×約半分となっているところです。
また、放射器側は10.44→10.2mと誘導リアクタンスを低下させるため短くしました。
2.アンテナ形状と電流分布
① 地上1m高におけるΔ線長がλ×0.27あたりの場合
Δ線の長さがλ/2よりも短い場合の給電点インピーダンスは、大きくマイナス値(容量性)となっているのが通常の動作です。この場合は、放射器の正弦波分布の給電点の電流波高値は低くなっています。Δ線側は、もっと電流分布は極端に低くなります。
② 地上0.1m高におけるΔ線長がλ×0.27倍あたりの場合
地面に極端に近くなると一気に給電点インピーダンスはプラス値(誘導性)となります。この状態が地表近くのΔLOOP形状の正しいアンテナ動作を示しています。電流分布で見ると給電点の放射器及びΔ線ともに電流波高値が大きくなる一方、Δ線側では先端まで正弦波的な電流分布がなくなります。これより先はリアクタンス(コイル)となって電流が流れない状態となると判断しています。
3.計算
No.5は、地上高1mに設置の場合で、Z≒33-j85.7[Ω]は、前項の①状態を示します。これは、MMANA標準大地(都会地)の状態なので絶対利得Ga:-1.91dBi(No.7と同等)です。
No.6は、自由空間の場合、Z≒18-119[Ω]とかなり容量リアクタンスで、各エレメントが短すぎることを意味します。相対利得-0.54dBd(Ga:1.61dBi)は、λ/4ラジアルGPのGh:-0.69dBd(Ga:1.46dBi)より少しだけ良好です。
No.7は、MMANA標準大地(都会地)の場合で、絶対利得Ga:-1.91dBiは垂直アンテナとして不良です。少なくとも3dBi近くの利得が正常動作できる標準値となります。
No.8は、地面のアース状況を改善するために地表ラジアル5m×12本を給電点を中心として、アンテナ直下に敷設した場合です。この場合はGa:2.47dBi(1m高だと2.21dBi)は、+0.26dB増ですが、まだまだ、標準値3dBiに達していません。
RとjXで見たアンテナ動作は、自由空間の場合約R:18Ω(1m高:21Ω)、実際の大地状態だとR:約36Ω(1m高:約38Ω)は、正常なアンテナ動作とみることができます。今回の絶対利得が低い原因は大地の電気定数にあるとみています。
4.パターン
地上高0.1mの場合での打上角24.9°(1m高:25.4°)は垂直アンテナの低角度放射の代表例です。DX向けの典型的な放射パターンです。ただ、その動作での問題は、Ga:2.47dBi(3dBi標準比較だと)-0.53dBと少しだけ低くなっているところです。
5.高さと地面定数を変えないでGaを改善した場合のパターン
Ga:4.37dBi(1m高:4.36dBi)とそのときの仰角:13.4°(λ/4:13.7°)がMMANA上では実現できます。
前回と同じくMMANAの設定だけで先の「地表ラジアル5m×12本」と同一条件の設定を確保しながら、この大地状態を再現することができます。理想のGPアンテナとしては、このパターンが望ましい理想形です。
※実際の大地上で実現は今のところできません。あくまで、MiniNECの計算ルーチンだけのマジックです。
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