(ベクトル解析復習)ベクトルの発散(2)divEの直角座標表示

 この電磁気学の見直し編を書くにあたって、数冊の電磁気学本を図書館から借りて読んでいます。ただ、そのレベルはまちまちで、基礎を優しく解説すると基礎理論ばかりで、これの応用の理論が不足です。逆に電磁波等への応用を主とすると基本の理論は、ほとんど省略されてしまいます。一冊の本のページ数の制限から、どうしてもそうならざるを得ない事情だと思っています。ですから、いくつかの記述レベルの違う本を読み漁ることをお薦めします。両者のいいとこどりによって、自分に合った理解を得ることができると考えています。

 ここでも、静電気と静磁気の基本部分にあるマクスウェル方程式とは直接関係が無い、基本理論は省略していきます。そうしないと基本理論だけでかなり時間が必要で、肝心のマクスウェル方程式からの展開までに達する前に興味が無くなって、以降の理論を読んでいただけないと思っているからです。学生時代の電磁気学の課程はそんな進行だったので、結局、最後に授業時間不足で、マクスウェル方程式について、十分深い理解を得ることが難しかった印象が今も残っているのです。

 そんな過去の経験から、電磁気学の基本は、まず、マクスウェル方程式の成り立ちの意味合いとそれから導ける電磁波の性質を理解することが、結局、アンテナ理論等の電磁気学の応用面に十分役立つと今は思っています。

 ただし、その理論を理解するためのベクトル解析学(ベクトルに関する微分、積分と直角座標以外の座標におけるベクトル成分計算など)は、基礎として省略するわけにはいきません。ここらは、電磁気学的にあまり面白くない過程だとは思うのですが、この理論展開について付き合っていただけたらと思っています。


(本論)
(2)divの直角座標表示
 電界Eの発散divを直角座標系で表現していきます。
第1.8図Exの発散.JPG
 第1.8図で、P表面における力線のx方向成分は、ExΔyΔzです。それからΔx離れたQ面におけるx方向成分は、その点のx方向の微係数がわかると
     ∂ExΔyΔz
ExΔyΔz+─────Δx
       ∂x
と書くことができます。

 よって、この両面から正味に発散していく力線数は、その両者の差分となりますから、
(∂Ex/∂x)ΔxΔyΔz =(∂Ex/∂x)Δv
となります。

 y方向、z方向の場合も同様に、それぞれ、
(∂Ey/∂y)Δv、(∂Ez/∂z)Δv
の力線が発散します。

 したがって、これらを足し合わせると力線全体のΔNが求まりますから、
ΔN=(∂Ex/∂x+∂Ey/∂y+∂Ez/∂z)Δv

div=∂Ex/∂x+∂Ey/∂y+∂Ez/∂z   .....(1.22)
となります。上式は任意のベクトルの発散について成立します。(1.22)式からわかりますようにベクトルの発散はスカラ量となります。
※ベクトルの勾配は、(1.16)のようにベクトル量となるのとは、これが違う部分なので注意してください。

(参考資料)
「微係数」について
https://manabitimes.jp/math/1964

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