(続)ΔLOOP形ラジアルGPアンテナ地表設置(3)基本特性:動作可能最小化モデル

 今回のテーマは、地表に展開しているΔ形ループ形状の大きさをどこまで小さくできるかのMMANA上の試作です。実際に設置していたループ形状よりも小さくするとどうなるか?が今回の探求目的です。
(本論)
1.アンテナ定義
OnGround_DeltaLOOP_GP50ohm_010.PNG
 MMANA画面では、全行表示できないことからテキスト形式での表示としました。以前のモデルとの違いは、Δの全長は、λ×0.27→λ×0.21とさらに短くなっています。
 実際に使用した先端がまるい葉っぱ形状のLOOPだったのですが、3.5MHzと3.8MHzに対して、全長20mだったので、λ割合は0.23λ~0.25λでしたから、それよりも短くなっています。
 また、放射器側は10.2→11.05mと容量リアクタンスを低下させるため長くする必要がありました。

2.アンテナ形状と電流分布
OnGround_DeltaLOOP_GP50ohm_020.PNG
 地上0.1m高におけるΔ線長がλ×0.21倍あたりの場合の電流分布です。高さ1mに設置したラジアルと同様な電流分布となりました。ただし、この状態となるラジアル長さは、非常にクリチカルです。その結果は、次の計算で判明します。

3.計算
OnGround_DeltaLOOP_GP50ohm_030.PNG
No.1は、自由空間の場合、Z≒22-104[Ω]とかなり容量リアクタンスで、各エレメントが短すぎることを意味します。相対利得-0.49dBd(Ga:1.66dBi)は、通常設置したλ/4ラジアルGPのGh:-0.69dBd(Ga:1.46dBi)よりは良好です。

No.2は、地上高1mに設置の場合で、Z≒41-j58[Ω]は、各エレメントが短い状態を示します。これは、No.4と同じ大地の状態なので絶対利得Ga:1.87dBiと自由空間よりも良好です。

No.3は、MMANA標準大地(都会地)の場合で、絶対利得Ga:-1.90dBiは前回の0.27λと同様です。

No48は、地面のアース状況を改善するために地表ラジアル5m×12本を給電点を中心として、アンテナ直下に敷設した場合です。この場合はGa:2.29(0.27λの場合は、2.47dBi)は、その差では-0.18dBと低下します。せっかく放射器を85cm伸ばしているのにも関わらずです。
 また、Z=R+jX≒46-4Ωと50Ωとのマッチングは良好です。マッチング回路なしでもSWRは、1.2以下に収まります。ただし、そのインピーダンス上昇分は、大地の誘電率の影響における損失とも言えます。

4.パターン
OnGround_DeltaLOOP_GP50ohm_040.PNG
 地上高0.1mの場合での打上角25.2°(0.27λ:24.9°)は垂直アンテナの低角度放射の代表例です。DX向けの典型的な放射パターンです。ただ、その動作での問題は、Ga:2.29dBi(0.27λとの比較だと)-0.18dBと少しだけ低くなっているところです。

5.高さと地面定数を変えないでGaを改善した場合のパターン
OnGround_DeltaLOOP_GP50ohm_041.PNG
 Ga:4.36dBi(0.27λ:4.37dBi)とそのときの仰角:13.7°(0.27λ:13.4°)がMMANA上では実現できます。

 と、ここまでは、0.27λ→0.21λと小さくしても問題はなかったのですが、次回の周波数特性を見るとこの0.21λだと問題が発覚しました。 

この記事へのコメント

ラベルリスト

最近のコメント