Mobile Whip Antenna(16)DuoBand(7/21MHz)Ver2.1:周波数特性(2)21MHz帯

 今回のモービルアンテナをMMANAにおいて設計する際、注意すべき点があるようです。それは、セグメント指定ナンバーです。内容が長文なので、記事の最後に引用しておきます。要は、セグメント指定をそのエレメントの形状や長さに応じて、適正に指定しないと計算(特に「給電インピーダンス」)に誤差が大きくなって、正常な結果とならないことを理解することが必要です。

※特に今回のような各エレメントが波長に比べて、短すぎる場合と四角形ループと同様に直角で曲がる形状の場合には、注意が必要です。セグメント変更により、常識的値となるように調整が必要かと考えます。
(本論)
1 インピーダンスZ(RとjX別)
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2. SWR特性
(1)マッチング回路なし
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(2)21.2MHzにマッチング
※今回特に必要ありませんが、前回のデータとの比較のため
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3. 利得GaとF/B
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4. パターン
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 前回のVer2(https://jo3krp2.seesaa.net/article/511979240.html)だけでなく、当初モデル(https://jo3krp2.seesaa.net/article/511557567.html)のパターンとも比較していただけると周波数全域でのパターンの変化が少ないことを認識していただけると思います。

5. 帯域性能比較
 改良前のVer2と比較しますと帯域特性は、マッチング回路ありの場合での比較では、【SWR<1.5】84KHz(Ver2:112KHz)と【SWR<2.0】168KHz(Ver2:214KHz)となって、かなり良好なSWR帯域幅が狭くなっています。
 その分、動作利得は、Ga:+2.4~+4.1dBi(Ver2:+1.0~+1.7dBi)と大幅に利得上昇を得ています。

※結局、利得と帯域幅はお互いに相反関係にあります。どちらも良好に動作することはあり得ません。メーカー製アンテナでも同じことです。どちらを重視した設計としているか?により、同じ周波数帯であっても、アンテナの性格が異なります。自分が欲しい性能に近い製品を選択するためには、いろんな製品を同一環境で実地検査しないと判らないのが難点です。

(留意事項)
1. MMANA ソフトウエアマニュアルより抜粋
>セグメントの分割数や分割方法は主にインピーダンスの計算精度に大きく影響が出ることが知られています。特にワイヤに折れ曲がりがあるループアンテナ等ではテーパリングを指定して折れ曲がり付近のセグメント間隔のみを小さくする事により、少ないセグメント数でも計算精度を改善させる事ができます。
ワイヤに折れ曲がりがないアンテナでは均等分割を、ループ等の折れ曲がりのあるアンテナではテーパリングを指定すると良いでしょう。

2.MMANA ソフトウエアマニュアル 「補足」より抜粋
>○セグメント、テーパリングについて
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 モーメント法では、ワイヤをセグメントという単位で細かく分割し、その分割した各セグメントに流れる電流を計算しますので、どのように分割するかが計算精度に大きく影響します。

ダイポールや八木等の1本の直線で構成されるエレメントの場合は、均等に10等分や20等分にしても、それほど大きな誤差は出ないとされていますが、例えばループアンテナのようにワイヤに折れ曲がりがある場合は分割幅を小さくしないと誤差が大きくなり精度が悪化します。

テーパリングというのはそれを少しでも改善しようという方法で、折れ曲がり付近(1つのワイヤの端)を細かく分割し、中央部のほうは荒くしていく方法です(すべてを細かく分割するとセグメントが増えて計算時間が増大します)。
また折れ曲がりのない1本の直線で構成されているエレメントの場合も、テーパリングを設定する事により少ないセグメント数で計算精度を確保できる場合があります。

 いずれの場合でも、インピーダンスの計算精度を上げるには、セグメントの分割幅を細かくする必要がありますが、あまり短く(0.001λ以下)すると逆に計算が不安定になり、また直径とセグメント長の比が4以上あるような太いセグメントでは誤差が大きくなるとされています。
以下に代表的なアンテナのSegとDM1、DM2の設定値を示します。なおこれはあくまで一般例ですので、アンテナの形状や給電の仕方によっては更に細かく分割する必要がある場合もあります。

アンテナ種別 Seg DM1 DM2
ダイポール・八木系 0または-1 200-400 40
正方形ループ -1 200-400 40
三角形ループ -1 400-600 40
長方形ループ -1 400-600 60
ヘンテナ -1 400-600 60
(Segが0の時はDM1の値は結果に関係しません)

最適化など計算速度を優先させる必要がある場合は、DM1やDM2を上記の値より減らして計算を行いますが、その場合はどの程度の偏差があるかあらかじめ調べて、それが許容できるかどうかを確認しておくと良いでしょう。一般にこの偏差は、ゲインや指向性特性では少なく、インピーダンス(特にjX)で大きい傾向にあります。例えばあらかじめjXの偏差を調べておき、最適化の際は「任意のZ」でjXにその分の逆オフセットを設定して少ないセグメント数で最適化すると短い時間で良い結果が得られる場合があります。

 計算結果について、その精度を判断する基準はありませんが、セグメントの分割数を増減させてインピーダンスが大きく変化しないかなどを調べてみることにより、ある程度推測する事はできます。また電流分布を確認することも重要です。分布が予想に反した結果になっている場合や、変化が粗いと感じる場合は分割数や分割方法を検討すると良いでしょう。
一般に2つ以上のワイヤがごく接近しているケースや、短く折れ曲がっているもの等の計算精度は悪くなると思います。
サンプルにはマッチング部分をワイヤ定義で記述してあるような、かなりクリチカルな例も含まれていますが、それらはその働きを試してみたもので、細かい寸法などは信用しないほうが無難だと思われます。

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