50MHz用八木:8エレメント・T-match:Uバラン方式(3)オリジナル設計モデル基本特性

 今回から、前回述べたFDラジエータからの変形となるT-match方式について検証します。T, γ(ガンマ),ω(オメガ)のいずれもラジエータエレメントに並行に沿う、短いロッドにより、エレメント中央位置からオフセットした位置に給電する方法に分類される方法です。この方法についての動作原理の理解を得ることが難しいようで、ネットで公開している情報は、玉石混合的(正しい記述と誤った解釈とが混じり合っている。)です。これについては、この最終回にまとめて、議論したいと思っています。

 ここでは、ナガラ電子の製品情報を参考として、オリジナルのT-match方式のラジエータを設計しました。最適化まで行っていませんので、さらなる高性能な8エレメント八木は存在すると思います。ここでは、T-match方式の基本を再現したモデルです。
 

(T, γ(ガンマ),ω(オメガ)動作概要)
 動作原理は単純で、FDラジエータと同様にオフセットした分だけ、給電点インピーダンス(R)を上げることができます。また、オフセット用のロッドの長さは、簡単に言えば、コイルLを接続した状態なので、各ロッド自体は誘導性(+jXL)を持ちます。そのために、これを打ち消すためにロッド中間に直列接続した(可変)コンデンサー(-jXc)を設けています。

 若しくは、コンデンサーを使用しない方法として、ラジエータエレメントの全長を短くして、ラジエータ自体が容量性になるようにして、これでロッドの誘導性を打ち消す方法をとっている場合もあります。ただ、この場合は、ラジエータエレメントを任意に取ることができません。八木アンテナにおいては、ラジエータエレメントの長さも性能に影響しますから、この方法よりもロッドに直列コンデンサーを使った方法をお薦めします。

(本題)
1. アンテナ定義
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 ラジエータ以外は、MMANA標準モデルの複合パイプ方式です。また、その配置やエレメント長はそのまま使用しています。この基の設計は、8エレメント八木としての性能が優れていると思っています。
  
2. アンテナ形状と電流分布
(全体象)
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 FDモデルとほぼ同じです。ロッドとラジエータとの間隔とパイプの太さ比を適切に選択することで給電インピーダンスをFDモデルよりも簡単に200+j0[Ω]に近づけることができます。
(ラジエータ拡大)
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3. 計算
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 No.1は、自由空間、No.2は20m高に設置の場合、いずれの場合でも、Uバラン1:4=50:200(Ω)の抵抗変換のみで最終50Ωにマッチングを行います。
※誘導性リアクタンスのキャンセルはロッドにある可変コンデンサーにて調整します。

4. パターン
(1)自由空間
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(2)20m高
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