50MHz用八木:8エレメント・T-match:Uバラン方式(4)周波数特性

 T-match方式では、FD方式に比べると中心周波数50.5MHz付近では、Ga:19.02(FD:18.45)dBiと+0.57dB増、F/B:23.26(FD:23.88)dBと-0.62dB減と一長一短となっています。しかし、これはマッチング方式の違いというよりもラジエータ自体の全長の問題となっています。FD方式だと誘導リアクタンスを小さくするため、ラジエータ全長を短くする必要がありました。その一方、T-match方式だとラジエータ自体も誘導性とする方が、可変コンデンサーの値が適切な値(50~100pF程度)を取れるようになるため、その全長は、FD方式に比べると長くなっているからです。
 ※可変コンデンサーでの同調を考えますとあまり小さい値、例えば30pF以下だと調整がクリチカルとなってしまうからです。
 今回は、周波数特性における各特性ごとのFD方式との比較をしていきます。
(本題)
1. マッチング前の給電点インピーダンスZ(RとjX別)
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2. 50.5MHzにてマッチングをとった場合
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 51.0MHzを超えるとインピーダンスZの変化が大きいのは、全ての方式で共通しています。

3. 上記2におけるSWR特性
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 SWR<1.5やSWR<2.0の計算値では、FD方式よりもかなり狭帯域となります。一方で、シングルラジエータのものと比べるとそれよりは、帯域は広くなります。
 ※実際は、同軸ケーブルによって形成しているUバランによる狭帯域特性がこれらに反映されますから、FD方式とT-match方式のどちらでも同じ帯域幅と言えるかもしれません。
 Uバランは、波長×0.5×同軸の短縮率(5D2V:0.66~0.67)による長さの影響を受けます、ですから、周波数が高い程、全長は短くて済む反面、その許容範囲は小さくなります。

4. 利得及びF/B特性
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  FD方式とほとんど同じ傾向(MMANA付属のシングルラジエータ方式とも同様)

5. パターンの周波数特性
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  こちらもどの方式でも同様な傾向です。
 
6. 暫定的結論
  8エレメント八木のようにエレメントが増えるとラジエータの給電形式よりもアンテナ全体の寸法、各エレメント配置が性能に影響するようです。したがって、アンテナ給電方式は機械的構造が簡単で、かつ、耐電力に有利な方法を選ぶほうが良いのでは?が、今のところの結論です。

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