50MHz用八木:8エレメント(8)50Ω同軸給電γ-match(1)基本特性

 今回から50Ω同軸ケーブルにて直接給電できるマッチング回路について考えます。その代表例は、γ(ガンマ)マッチング方式です。個人的には、50MHzで活躍した給電方式です。今から50年以上前にマスプロ電工製4エレメント八木に実装されていました。当時は、可変コンデンサーは小型バリコンでした。ですから、調整はとても簡単に行えました。また、主ビームの偏りは意識することはありませんでした。というのは、4エレメント程度だとビーム幅にはゆとりがあって、真っ直ぐにビーム方向を向いていなくても実質問題ありませんでした。そして、当時はTR-1100(トリオ製)1W出力で、同じ和歌山市の10W局たちを差し置いて、沖縄局との交信に一番に成功したことが今も記憶に残る交信でした

(ナガラ電子HPからの現在的実装方法)
nagara_SS-96ガンマロッド022.PNG
 今は、小型バリコンは貴重なものとなってしまいました。アルミパイプ同士の異径パイプで可変コンデンサーとしているのが、今風なのかもしれません。ただ、自作しようとするとハードルが高い部品となります。これを同軸ケーブルで代用することは簡単ですが、それだとUバランと同じ問題を孕みます。それは、同軸ケーブル外皮への雨水の浸透による腐食問題です。同軸ケーブルコンデンサー利用の場合、この問題を解決することがγマッチにも求められます。。

 ※このテーマ開始の端緒となった質問者さんの問題もUバランの同軸ケーブルの外皮側の腐食問題だろうと考えます。同軸ケーブルとの接続部を樹脂ケースで覆い、さらに下方に水抜き穴を設けて、ケース内の空気循環を良くすることが必要です。コーキング等によるケース密閉は、反って良くありません。

(本題)
1. アンテナ定義
YAGI6m8ele_γ_310.PNG
 ラジエータ以外は、MMANA標準モデルの複合パイプ方式です。また、その配置やエレメント長はそのまま使用しています。この基の設計は、8エレメント八木としての性能が優れていると思っています。
  
2. アンテナ形状と電流分布
(1)全体像
YAGI6m8ele_γ_320.PNG
(2)給電部(γマッチ)拡大
YAGI6m8ele_γ_321.PNG
 T-match方式の半分にしたモデルです。ロッドとラジエータとの間隔とパイプの太さ比を適切に選択することで給電インピーダンスを簡単に50+j0[Ω]に近づけることができます。

3. 計算
YAGI6m8ele_γ_330.PNG
 No.1は、自由空間、No.2は20m高に設置の場合、いずれの場合でも、γマッチのみで直接50Ωにマッチングを行います。
※誘導性リアクタンスのキャンセルはロッドにある可変コンデンサー(ここでは30pF)にて調整します。

4. パターン
(1)自由空間
YAGI6m8ele_γ_340.PNG
(2)20m高
YAGI6m8ele_γ_341.PNG
 ※両パターン図からも確認できますようにγマッチが主ビーム方向をマッチングロッドのあるエレメント側に傾けることはありません。これには別の問題が絡んでいるようです。一番最終の全体の総括記事で取り上げる予定です。


 

この記事へのコメント

2025年06月27日 23:32
コーキングは安易でしたね(>_<)
私が今も持っているマスプロ電工製3エレメント八木は40年程前に買った物。やはりγマッチで、スキー板の収納袋に入れて移動用でした(^_^;)

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