【ヘアピンマッチ予習】分布定数回路の整合(2)特性インピーダンスZoについて
前回は、MMANAのスタブマッチに必要な(ショート)スタブの特性インピーダンスZoを求める結果式を示しました。
Zo=276log10(d/a) [Ω] ....(5.81)
Zo;求めたいスタブの特性インピーダンス
d;2線間の距離
a;電線の口径(半径)
この式があれば、簡単にスタブの特性インピーダンスZoを計算できることはご理解いただけたと思います。
ただ、この式を導出してくるところは、そう簡単ではありません。それにこれを導出する理論展開を理解しないとただの丸暗記でしかないのです。
今回から、その基礎部分について過去の記事や図面を参考にして、もういちど算出してみることにします。
(本論)
記事の引用元は、かつての第一級無線技術士(現:一陸技)の教科書である「アンテナ本」の下巻からです。
5.1.2 特性インピーダンスと伝搬定数
上記、第5.3図(a)のように、無限長線路を考えますと任意の2端子から無限長側をみたインピーダンスはどうなるか?を考えてみます。
まず、端子abからみたインピーダンスも、a'b'から見たインピーダンスも、負荷は無限長線路なので同じ値となる以外に答えはありえません。これを等価回路として示しますと上記、第5.3図(b)になります。
この意味は、a'b'にZo(原典は上に・が付くベクトル表示ですが、ここでは表示できないので省略しています。)をつないだとき、abからみたインピーダンスもZoとなるということです。
これをもっと詳しい等価回路として第5.4図(a)のように描いた場合も同じです。したがって、有限長線路をZoで終端した場合も
無限長線路とまったく同じ状態を示すことがこれから理解できます。このZoを「特性インピーダンス」といいます。
Zoは上記図から一次定数Z,Yによって計算で求めることができます。
つまり、ab端からみたインピーダンスZoは
1
Zo=(Z/2)Δx+──────────────
1
YΔx+────────
Zo+(Z/2)Δx
......(5.1)
※Δxは線路の分布定数とするその基本形を形成する区間の距離を示します。
線路の単位長さと考えます。
すなわち、決まった数値ではありません。
※一次定数とは、線路の単位長あたりの
L(H),C(F),R(Ω),G(モー;Ωの反対記号)
で表せるものをいいます。
上式の右辺第一項を左辺に移項して整理しますと
1
(Zo-(Z/2)Δx)(YΔx+──────── )=1
Zo+(Z/2)Δx
左辺を展開して、Δxの極限としてΔx→0となる場合
を求めます。
その際、Δx^2項は小さいので無視すると
Zo-(Z/2)Δx
ZoYΔx+──────────=1
Zo+(Z/2)Δx
∴ Zo^2YΔx+Zo-(Z/2)Δx=Zo+(Z/2)Δx
∴ Zo^2YΔx=ZΔx
∴ Zo=√(Z/Y)=√{(R+jωL)/(G+jωC)}
.....(5.2)
この式において、高周波伝送回路だと一般にR≪ωL,G≪ωCが成立します。
(∵RやGが大きいとロスばかりが発生するから伝送回路としては不適です。)
よって
Zo=√(L/C) [Ω] ......(5.3)
となり、特性インピーダンスZoは一次定数だけで決まる純抵抗値となるわけです。
式(5.3)は同軸ケーブルの特性インピーダンス50Ω又は75Ωを示す計算式として登場したと思います。
Zo=276log10(d/a) [Ω] ....(5.81)
Zo;求めたいスタブの特性インピーダンス
d;2線間の距離
a;電線の口径(半径)
この式があれば、簡単にスタブの特性インピーダンスZoを計算できることはご理解いただけたと思います。
ただ、この式を導出してくるところは、そう簡単ではありません。それにこれを導出する理論展開を理解しないとただの丸暗記でしかないのです。
今回から、その基礎部分について過去の記事や図面を参考にして、もういちど算出してみることにします。
(本論)
記事の引用元は、かつての第一級無線技術士(現:一陸技)の教科書である「アンテナ本」の下巻からです。
5.1.2 特性インピーダンスと伝搬定数
上記、第5.3図(a)のように、無限長線路を考えますと任意の2端子から無限長側をみたインピーダンスはどうなるか?を考えてみます。
まず、端子abからみたインピーダンスも、a'b'から見たインピーダンスも、負荷は無限長線路なので同じ値となる以外に答えはありえません。これを等価回路として示しますと上記、第5.3図(b)になります。
この意味は、a'b'にZo(原典は上に・が付くベクトル表示ですが、ここでは表示できないので省略しています。)をつないだとき、abからみたインピーダンスもZoとなるということです。
これをもっと詳しい等価回路として第5.4図(a)のように描いた場合も同じです。したがって、有限長線路をZoで終端した場合も
無限長線路とまったく同じ状態を示すことがこれから理解できます。このZoを「特性インピーダンス」といいます。
Zoは上記図から一次定数Z,Yによって計算で求めることができます。
つまり、ab端からみたインピーダンスZoは
1
Zo=(Z/2)Δx+──────────────
1
YΔx+────────
Zo+(Z/2)Δx
......(5.1)
※Δxは線路の分布定数とするその基本形を形成する区間の距離を示します。
線路の単位長さと考えます。
すなわち、決まった数値ではありません。
※一次定数とは、線路の単位長あたりの
L(H),C(F),R(Ω),G(モー;Ωの反対記号)
で表せるものをいいます。
上式の右辺第一項を左辺に移項して整理しますと
1
(Zo-(Z/2)Δx)(YΔx+──────── )=1
Zo+(Z/2)Δx
左辺を展開して、Δxの極限としてΔx→0となる場合
を求めます。
その際、Δx^2項は小さいので無視すると
Zo-(Z/2)Δx
ZoYΔx+──────────=1
Zo+(Z/2)Δx
∴ Zo^2YΔx+Zo-(Z/2)Δx=Zo+(Z/2)Δx
∴ Zo^2YΔx=ZΔx
∴ Zo=√(Z/Y)=√{(R+jωL)/(G+jωC)}
.....(5.2)
この式において、高周波伝送回路だと一般にR≪ωL,G≪ωCが成立します。
(∵RやGが大きいとロスばかりが発生するから伝送回路としては不適です。)
よって
Zo=√(L/C) [Ω] ......(5.3)
となり、特性インピーダンスZoは一次定数だけで決まる純抵抗値となるわけです。
式(5.3)は同軸ケーブルの特性インピーダンス50Ω又は75Ωを示す計算式として登場したと思います。
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