【ヘアピンマッチ】分布定数回路の整合(5)平行2線式給電線(1)インダクタンスL

 今回から、ヘアピンマッチ回路の基礎である平行2線式給電線についての理論にかかることができます。しかし、伝送理論の流れ的には、いくつかの重要な項目については、今回端折ります。そうしないと目的部分まで、たどり着けないからです。
 特に残念な部分は、「5.1.3 分布定数回路の一般的取り扱い」での波動方程式から、その一般解を求めて、それと今回のγ(α,β)との関係を波動方程式として再現するところです。(機会があれば、別途紹介します。)

(本題)
 今回部分についてはアンテナ本の記事の流れとして、少しとばしています。まず、前回は、減衰定数αだけを厳密に求めましたが、それは途中式までです。
 参考として、残り式を表示しておきます。
α^2-β^2=RG-ω^2LC ....(5.22) 

α^2+β^2=√{(R^2+ω^2L^2)(G^2+ω^2C^2)}
                ....(5.23)

α^2=(1/2)【√{(R^2+ω^2L^2)(G^2+ω^2C^2)}+(RG-ω^2LC)】
                       ....(5.24)
β^2=(1/2)【√{(R^2+ω^2L^2)(G^2+ω^2C^2)}-(RG-ω^2LC)】
                       ....(5.25)
とここまで求めるのが、本来の記事の流れです。ただし、今回のヘアピンマッチに関することには無関係なので、気にする必要はありません。
 ここから、さらに以降のこの節は省略して、一気に次の節にとばします。

5.2 伝送線路の基本的特性
 この節の初めは、表皮効果についてです。これもヘアピンマッチに関係ないため、全て省略します。
 5.2.2 平行2線の伝送線路定数
画像

 第5.8図のような寸法の平行2線式給電線の単位長さあたり、L [H]、C [F]、R [Ω]、G [モー])、および、特性インピーダンスZo=√(L/C)[Ω]、減衰定数α[Nep/m]、位相定数β[rad/m]を算定します。
① インダクタンス
 流れる電流Iと、これによって発生する鎖交磁束数をΦとすれば
L=Φ/I .....(5.59)
 鎖交磁束数の計算は、導体内と外で違いますが、導体内の鎖交磁束数は表皮効果やa≪dのため非常に小さく無視します。
導体外の磁束φのΔrの変化に対する微小変化Δφは磁束密度をBとすれば、第5.8図で、
Δφ=B・Δr=μoH・Δr .....(5.60)
H=I/2πr .....(5.61)
※このあたりの理論は、電磁気学の分野で習っているはずです。

導体1に流れる電流によって外部にできる全磁束φは、Δφをaからd-aまで積分すれば求まります。
  d-a
φ=∫μoHdr
  a

  d-a μoI 
 =∫ ────dr
  a  2πr

            d-a
 =(μoI/2π)[logr]
            a

 =(μoI/2π)log(d-a/a) .....(5.62)

 導体1に流れる電流が2に往復したときの全磁束は、(5.62)式の倍になりますから、往復線路の自己インダクタンスLは、
(5.62)式から
   μo    d
L≒─── log─── [H/m]  .....(5.63)
    π    a
となります。
 今回はここまで、次は、この伝送線路の静電容量を求めます。

(予習科目)
 ここで、ヘアピンマッチに関係する重要なファクターを予習で掲げますと
 β=2π/λ β;位相定数 π;円周率3.14・・・ λ;伝送する電磁波の波長 
 βl[ラジアン] l;伝送線路の長さ=ヘアピンマッチにおけるスタブ長
 Zs=jZo tan(βl)[Ω]
   Zs:短絡線路のインピーダンス
   j;√-1の意味ですが、ここではjを掛けると実数→虚数、
   つまりリアクタンス(それもプラス側のインダクタンス)となる意味
   Zo;平行2線の特性インピーダンス(純抵抗:実数)

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