【ヘアピンマッチ】分布定数回路の整合(7)平行2線式給電線(3)スタブ長計算でZo値の重要性と抵抗R

 今回の抵抗Rは、ヘアピンマッチと直接関係しませんが、平行2線式給電線の基本知識として採り上げました。

(ヘアピンマッチのスタブ長計算におけるZo値の重要性)
  一方で、前回書いた給電線の特性インピーダンスZo(=√L/C)の算定が、ヘアピンマッチで重要な意味を持つことの事前紹介です。

(スタブの線路の特性インピーダンスZoの値を正確に求めたい理由)
 今回使用に使用するのは、MMANAの表示オプション(V)にあるスタブマッチ・タブでの計算です。
ここでは、ヘアピンマッチするアンテナとしての代表的(中央値)数値であるR=25Ωとします。

 このとき、アンテナのリアクタンス側の目標値Xは、オプション(V)環境設定で「ヘアピンマッチ」ボタンとそのとき求める整合目標Z(普通は50Ω)を代入してjX欄に表示させて求めます。(次図参照)
ヘアピンマッチL計算10.PNG
 このときのjx=-25.0がその回答となります。

 つまり、アンテナの全長を短くして、アンテナ自体のZ=25-j25 [Ω]まで調整しなければならないのです。このとき、jxが+側だとヘアピンマッチはできません。それもできる限り、ZL(R,X)の値に近くするのが良いのです。

 そして、フィーダ(Zoと短縮率)を実際に使用するヘアピンマッチのスタブに合った値を入力しなければなりません。
fは使用周波数でここでは、50.5MHzです。Ziは入力インピーダンスすなわち、同軸で給電したい場合は50Ωを入力します。

 ここで、フィーダ(Zoと短縮率)が判らず、適当に入力する場合、短縮率は教科書的に0.98(0.975)を採用してもまず問題とはなりません。
しかし、Zo側が全く見当がつかず、デフォルトの600Ωと、仮にもっと低い値だろうとして100Ωとした場合の2つを比較すると

① Zo=600と0.98を入力後、「TUNE」ボタンを押す。すると次の画面となって、解1と解2の回答になります。 
ヘヤピンマッチL計算11.PNG
  この場合、短絡スタブを求めたいのでL2s=0.0132λ=7.7cmを採用します。しかも、負荷との距離L1=0λ=0cmなのでピッタリ適合できます。

② Zo=100と0.98を入力後、同様にしますと
ヘヤピンマッチL計算12.PNG
  この場合、短絡スタブを求めたいのでL2s=0.0738λ=42.9cmを採用します。こちらも負荷との距離L1=0λ=0cmなのでこれは問題ありません。
 結果、Zoの値をきちんと計算で求めないとこれだけスタブの長さが違ってきます。ですから、適当にZoを決めるわけにはいかず、実際のスタブ長とは全く合わない計算となってしまうのです。
 ※50MHz(波長6m)でもこれだけ違うので、HF帯だと波長が長いため、スタブの長さも長くなりますから、もっと正確なZoの値が必要です。

(本論)
5.2 伝送線路の基本的特性
5.2.2 平行2線の伝送線路定数
第5.8図b平行2線式線路.png
③ 抵抗R
 この導体の抵抗率をρ[Ω・m]、導電率をσ[モー/m]とし、導体の有効断面積をS[㎡]としますと、長さ1[m]あたりの抵抗Rは
R=ρ/S=1/(σS) [Ω]  .....(5.69)
 ここで、Sは表皮深さδと導体表面で囲まれた面積ですから
(上記、第5.8図(b)を参照)
S=πa^2-π(a-δ)^2
 =2πaδ-πδ^2
 ≒2πaδ
 =a√(10^7/fσ)  .....(5.70)
 
(∵ (5.57)式から金属体の場合
  δ=(1/2π)√{(ρ/f)×10^7}
 )

 抵抗Rは、2つの導体が直列になるように電流が流れますから、平行2線について
R=2×1/ρS
 =(2/σa)√(fσ/10^7)
   2√(fρ×10^(-7)) 
 =───────────  [Ω]
        a
              .....(5.71)

導体金属が銅の場合
ρ=1.724×10^(-8) [Ω/m]
R=2√(0.1724×10^(-16)×f)/a
 =(8.32√f/a)×10^(-8) [Ω] .....(5.72)

周波数fをMHz、導体半径aをmm単位にとれば
  8.32√f[MHz]
R=───────×10^(-2) [Ω/m] ....(5.73)
   a[mm]

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