【ヘアピンマッチ】分布定数回路の整合(11)平行2線式給電線(7)位相定数βと波長短縮率

 平行2線式給電線路の理論は今回が最終です。今回のヘアピンマッチにかかる注目点は、波長短縮率です。

 平行2線式線路に関わらず、同軸ケーブル、導波管といった、全ての給電線上の電磁波(厳密にいうと、その給電線に沿って伝達していく電磁波で、その実態は、負荷に向けて進行する進行波と負荷から電源側に向かう反射波の両方向の伝達波が合成されて、給電線に沿って定在波となっている状態の電磁波)は、自由空間を伝搬する電磁波の速度(光速度c)では伝搬されません。必ず、光速度よりも遅くなります。これを波長で見るとその波長が短くなったように見えることから、この状態を表す指標として、波長短縮率を使います。

 ヘアピンマッチにおけるスタブ長もこの波長短縮の影響を受けます。つまり、DPアンテナのエレメント長と同じで、少しだけ、スタブが短くなるということになります。この波長短縮率が、MMANAのヘアピンマッチ・スタブ計算ツールでは、フィーダ欄に入力項目として、設定されています。厳密には、MFJ-259B等の測定器を使い実測することも可能ですが、(今回の50MHzでは微妙ですが、)HF帯以下にて、裸導線を使用した場合には、0.95~0.98の範囲内に収まるかと思います。ただ、ビニル被覆銅線を使う場合には、その被覆の比誘電率の影響が大きいので、実測してください。


(本論)
5.2 伝送線路の基本的特性
5.2.2 平行2線の伝送線路定数
⑦ 位相定数β
位相定数βは、
β=ω√(LC)=(ω/c)√εs
 但し c;光速
上式は、
β=(2π/λ)√εs [rad/m]  .....(5.88)
または
β=ω/v=2π/λ’  .....(5.89)
と変形することができます。

 (5.89)式のλ’は線路内を伝わる波長であり、(5.88)式のλは自由空間内の波長です。λとλ’の関係は、これらの式から
λ’/λ=1/√εs  .....(5.90)
となります。

 (5.90)式は、線路内の波長の自由空間波長に対する割合で、波長短縮率といいます。それは、誘電体中の屈折率の逆数となっています。位相定数や漏れ減衰定数の計算式は、同軸線路の場合も同じです。

(伝送線路定数のまとめ)
 平行2線式(同軸線路も同様)で、R≪ωL、G≪ωCの条件での伝送線路について、次のことがわかりました。
(1) L,C及びZoは周波数に関係しない量であって、線路の寸法によって決まります。線路の間に誘電体を使用するときは、Cはその比誘電率εsに比例し、Zoは比誘電率の平方根√εsに反比例します。

(2) LとZoは線路の2導体間の間隔と導体半径の比の対数log(d/a)やlog(b/a)比例し、L,Cはこれに反比例します。
※log(b/a)は同軸の場合で、aは中芯導体半径、bは外部導体の中心点からの内側半径

(3) R及び抵抗減衰定数αは周波数の平方根√fに比例して増加し、G及び漏れ減衰定数αgは周波数fに比例して増加します。また、αrgとも誘電体の比誘電率の平方根√εsに比例しますから、減衰量を小にするには、比誘電率εsの小さい誘電体を使用する必要があります。

この記事へのコメント

JA7PRV
2025年07月20日 20:51
niceです(^_^)v

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