【伝送線路の基礎理論】伝送線路の電圧と電流分布式の導出(1)反射係数(1)

 過去に「アンテナ」本から記述した内容より、今回の分布定数回路のマッチングについて必要となる予備知識群です。これらを理解していないと今回のMMANAのオプションにある「スタブマッチ」回路の原典、「L形分岐による整合回路」を理解することはできません。
 記事量が多いため、MMANAのヘアピンマッチ設計に先行して、始めることとしました。

(本論)
5.6 伝送線路の電圧・電流分布
 この節は、分布定数回路の基本式から出発し、入射波あるいはその合成波である定在波についてです。定在波を知ることは、その伝送線路上に電圧や電流がどのように分布しているかがわかります。

5.6.1 反射係数
画像

 第5.28図のような伝送線路上の任意の点の電圧、電流Vx、Ixは、A,Bを線路長xに無関係な定数、γを伝搬定数(線路長1mあたりの電圧または電流の伝送比の自然対数で表示している。)、Zoを特性インピーダンス(線路が無限長のときの入力インピーダンスと等しい。)としますと
※伝搬定数γと特性インピーダンスZoについては、ヘアピンマッチを平行2線式給電線とみなした理論で実施済

Vx=Ae^(-γx)+Be^γx
                 }......(5.259)
ZoIx=Ae^(-γx)-Be^γx
と表すことができます。
 電圧、電流の分布を表すこれらの式は、分布定数回路または伝送線路の基本式といいます。

(5.259)式で、Ae^(-γx)は入射波、Be^γxは反射波を表します。無限長線路の場合は反射がなく、また特性インピーダンスで終端した線路でも同様です。
よって
          Ae^(-γx)+Be^γx
Vx/Ix=Zo=Zo─────────────   ......(5.260)
          Ae^(-γx)-Be^γx

Ae^(-γx)+Be^γx=Ae^(-γx)-Be^γx   .....(5.261)

B=0
となって、反射波がなくなります。

 入射波をVi、反射波をVrとしますと
Vx=Vi+Vr
         }......(5.262)
ZoIx=Vi-Vr
となります。

 ある点の入射波Viに対する反射波の比
ρ=Vr/Vi=(B/A)e^2γx  .....(5.264)
このρをその点における反射係数と呼びます。

 ある点の反射波Vrは、その点の入射波成分Viと、反射係数ρが分かれば(5.264)式から求まります。

反射係数ρを用いて、(5.259)式のVx,Ixを表せば、

Vx=Ae^(-γx)(1+ρ)
                  }.....(5.265)
Zo Ix=Ae^(-γx)(1-ρ)

第5.28図の伝送回路で、送端からの線路長をx、受端からの長さdで表せば、x=l-dですから、反射係数ρは、
ρ=(B/A)e^2γ(l-d)    .....(5.266)
上式で受端、つまりd=0の点の反射係数をρoとしますと
ρo=(B/A)e^2γl   .....(5.267)

 したがって、x点(すなわちd点)の反射係数ρは、(5.266)式に上式を代入して
ρ=ρo e^(-2γd)    ......(5.268)
となって、これを使い(5.265)式を表せば、
Vx=Vi (1+ρo e^(-2γd))
                       }.....(5.269)
Zo Ix=Vi (1-ρo e^(-2γd))

この電圧、電流を表す結果式は次の説明ができます。
「電圧分布Vxは、その点の入射波Viと反射波Vrの合成波であり、反射波は、入射波よりさらに受端までdだけ進行し、Vie^(-γd)となったとき、受端で反射してρo Vi e^(-γd)となり、さらにdだけ進んで
ρo Vi e^(-γd) × e^γd=ρo Vi e^(-2γd) 」
となるので、(5.269)式のように表すのです。

この記事へのコメント

2025年07月20日 18:30
niceです(^_^)v

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