電磁気学(71)ベクトル(15)電磁石からアンペールの法則までの流れ(1)

 今回から静磁気の分野に入ります。といっても永久磁石のような元から磁気を示す物性にかかる理論ではありません。定常電流(直流電流)が流れることで生じる電磁石に関する理論が主です。

 しかし、この理論を進めることで、時間的に変動する電流による法則では、定常電流で成り立つアンペールの法則だけだと理論が成り立たないことがわかります。それを補正したのがマクスウェルで、アンペールの法則に変位電流項を加えて、電磁気学としての両理論を完成させることができました。

 今回の分野では、そのアンペールの法則までと電流から磁界を発生させる途中過程になるベクトルポテンシャルとの関係をベクトル式で示すところまでです。

 特にベクトルポテンシャルの物理的概念(イメージ)を理解することが難しいと思います。ただ、ベクトルポテンシャルを中継することで、電流から磁界が発生する理論式が簡単になり、具体的計算もできるようになります。

(本論)
 今回からの主体は、移動する電荷=電流です。当時は、まだ電子が発見できていないため、この電流の正体は不明でした。そのため、電極+と電極-が、実際の電子の移動方向とは逆に設定されてしまいました。つまり、電流方向と電子の移動方向は逆転しています。

 ただ、電流がつくる磁気との関係には、電子の流れを知らなくても電磁気での現象を理論的に説明できました。

 一方で、磁石は昔から知られており、磁石にはN極とS極があり、N極とN極、あるいは、S極とS極には反発力が作用し、N極とS極には引力が作用します。

  これは、静電気におけるクーロンの法則による+電荷と-電荷間の静電気力によく似ています。しかし、電荷は、+又は-の単独で存在できますが、磁石には、N極とS極を分離することはできません。

 例えば、棒磁石を2つに分割しても、必ず、どちらもN極とS極を持ちます。この構造は、電気双極子に似ています。このような短い間隔において並んだ正負の磁荷の対を磁気双極子といいます。

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