【補足】行列式計算とe関数等の微分について:ワイヤーアンテナ本にある理論(結果)式の導出(15)
本文記事では、行列計算方法やその後の偏微分式が常微分式で解決する部分は解説できなかったので、今回の補足とします。
(本論)
1. 3行3列(三次元)の行列式の計算方法について
一般の3行3列(三次元)の行列式(これを”detA”と表現すると)を展開するには、次の方法があります。

さらに2行2列(二次元)となった部分の展開は、上記右辺の第1項から順番に
a11| a22 a23 | =a11{ a22a33-a32a23} ....①
| a32 a33 |
同様に第2項は、
a12| a23 a21 | =a12{ a23a31-a33a21} ....②
| a33 a31 |
同様に第3項は、
a13| a31 a22 | =a13{ a31a32-a31a22} ....③
| a31 a32 |
∴
detAは
①+②+③
=a11{ a22a33-a32a23}
+a12{ a23a31-a33a21}
+a13{ a31a32-a31a22}
これを踏まえて、前回の∇×Aの三次元行列を展開するには、一行目の単位ベクトルを主として、二次元行列に分解します。
(1) Hrの場合
r方向成分の単位ベクトルerを行列より前に出して
| ∂/∂θ 0 |
Hrer=er| |
| rAθ 0 |
=er( ∂/∂θ×0 - 0×rAθ )
=er( 0 - 0 )
∴ Hr=0
同様にして、両辺式の単位ベクトルは省略しますと
| 0 ∂/∂r |
Hθ= r | |
| 0 Ar |
= r (0×Ar-0×∂/∂r)
=0
最後のHφ成分の一部は、このHφの一部を△φと仮に指定しますと
(両辺式の単位ベクトルは省略)
| ∂/∂r ∂/∂θ |
△φ=(r sinθ)| |
| Ar rAθ |
=(r sinθ){(∂/∂r)(rAθ)-∂Ar/∂θ }
さらに、Hの全成分は行列式の前に{1/(r^2sinθ)}がありますから、Hφ成分にもこれを掛ける必要があります。
∴
Hφ={1/(r^2sinθ)}△φ
=(1/r){ (∂/∂r)(rAθ)-∂Ar/∂θ } ....④
となります。これの両辺に単位ベクトルeφを付加しますと本文記事の
H=(eφ/r){ ∂/∂r(rAθ)-∂Ar/∂θ }
となります。ここまでが、行列式の計算の結果です。
2. 偏微分式の解法について
次に④式のArとAθに本文内にある
Ar=Azcosθ ....(2.2)
Aθ=-Azsinθ ....(2.3)
Az=(IΔl/4πr)e^-jκr ....(2.1)’
を代入しますと
Ar=(IΔl/4πr)cosθ・e^-jκr ...(2.5)
Aθ=-(IΔl/4πr)sinθ・e^-jκr ....(2.6)
となったので、これらを代入すると
Hφ={ (IΔl/4πr)(-sinθ)(de^-jκr/dr)
-(IΔl/4πr^2)・e^-jκr・(dcosθ/dθ) }
となります。
ここで、偏微分∂/∂rがd/dr、∂/∂θがd/dθとなるのは、それぞれ、変数がrとθだけのかたちになるからです。
ここで使う微分公式を過去記事から引用しますと
第0章 はじめに(到達目標と使用するツール)
https://jo3krp2.seesaa.net/article/201206article_1.html
まず、e関数の微分式の関係から
de^(nx)/dx=ne^(nx)
ここで、n=-jκ, x=rとすれば次式となります。
d(e^-jκr)dr=-jκ・e^-jκr
次に
d(cosθ)/dθ は、三角関数の微分公式のとおり
(cosθ)’=-sinθ ;「’」記号は微分を意味します。
ですから、これらを上の式へ代入しますと
Hφ=(IΔl/4πr)(-sinθ)(-jk・e^-jκr)
-(IΔl/4πr^2)(-sinθ)e^-jκr
左辺で共通できる (IΔl/4π)と(sinθ)e^-jκrをそれぞれ( )外へとだして、逆に、rは(jk/r)と(1/r^2)となって( )内に残します。また、負記号(-)は、そのペア組み合わせから前項と後項とも正となるから、結局
Hφ=(IΔl/4π){(jκ/r)+(1/r^2)}sinθ・e^-jκr
となって 最終の式(2.7)を得ます。
【重要】
指数関数であるeのべき乗の微分・積分の意味合いについては、
指数関数e^xの数学上の意味と微分積分学の計算
https://jo3krp2.seesaa.net/article/201006article_2.html
を参考としてください。
これを読めば、なぜ交流回路で、jωが付くのかを理解できます。
(本論)
1. 3行3列(三次元)の行列式の計算方法について
一般の3行3列(三次元)の行列式(これを”detA”と表現すると)を展開するには、次の方法があります。
さらに2行2列(二次元)となった部分の展開は、上記右辺の第1項から順番に
a11| a22 a23 | =a11{ a22a33-a32a23} ....①
| a32 a33 |
同様に第2項は、
a12| a23 a21 | =a12{ a23a31-a33a21} ....②
| a33 a31 |
同様に第3項は、
a13| a31 a22 | =a13{ a31a32-a31a22} ....③
| a31 a32 |
∴
detAは
①+②+③
=a11{ a22a33-a32a23}
+a12{ a23a31-a33a21}
+a13{ a31a32-a31a22}
これを踏まえて、前回の∇×Aの三次元行列を展開するには、一行目の単位ベクトルを主として、二次元行列に分解します。
(1) Hrの場合
r方向成分の単位ベクトルerを行列より前に出して
| ∂/∂θ 0 |
Hrer=er| |
| rAθ 0 |
=er( ∂/∂θ×0 - 0×rAθ )
=er( 0 - 0 )
∴ Hr=0
同様にして、両辺式の単位ベクトルは省略しますと
| 0 ∂/∂r |
Hθ= r | |
| 0 Ar |
= r (0×Ar-0×∂/∂r)
=0
最後のHφ成分の一部は、このHφの一部を△φと仮に指定しますと
(両辺式の単位ベクトルは省略)
| ∂/∂r ∂/∂θ |
△φ=(r sinθ)| |
| Ar rAθ |
=(r sinθ){(∂/∂r)(rAθ)-∂Ar/∂θ }
さらに、Hの全成分は行列式の前に{1/(r^2sinθ)}がありますから、Hφ成分にもこれを掛ける必要があります。
∴
Hφ={1/(r^2sinθ)}△φ
=(1/r){ (∂/∂r)(rAθ)-∂Ar/∂θ } ....④
となります。これの両辺に単位ベクトルeφを付加しますと本文記事の
H=(eφ/r){ ∂/∂r(rAθ)-∂Ar/∂θ }
となります。ここまでが、行列式の計算の結果です。
2. 偏微分式の解法について
次に④式のArとAθに本文内にある
Ar=Azcosθ ....(2.2)
Aθ=-Azsinθ ....(2.3)
Az=(IΔl/4πr)e^-jκr ....(2.1)’
を代入しますと
Ar=(IΔl/4πr)cosθ・e^-jκr ...(2.5)
Aθ=-(IΔl/4πr)sinθ・e^-jκr ....(2.6)
となったので、これらを代入すると
Hφ={ (IΔl/4πr)(-sinθ)(de^-jκr/dr)
-(IΔl/4πr^2)・e^-jκr・(dcosθ/dθ) }
となります。
ここで、偏微分∂/∂rがd/dr、∂/∂θがd/dθとなるのは、それぞれ、変数がrとθだけのかたちになるからです。
ここで使う微分公式を過去記事から引用しますと
第0章 はじめに(到達目標と使用するツール)
https://jo3krp2.seesaa.net/article/201206article_1.html
まず、e関数の微分式の関係から
de^(nx)/dx=ne^(nx)
ここで、n=-jκ, x=rとすれば次式となります。
d(e^-jκr)dr=-jκ・e^-jκr
次に
d(cosθ)/dθ は、三角関数の微分公式のとおり
(cosθ)’=-sinθ ;「’」記号は微分を意味します。
ですから、これらを上の式へ代入しますと
Hφ=(IΔl/4πr)(-sinθ)(-jk・e^-jκr)
-(IΔl/4πr^2)(-sinθ)e^-jκr
左辺で共通できる (IΔl/4π)と(sinθ)e^-jκrをそれぞれ( )外へとだして、逆に、rは(jk/r)と(1/r^2)となって( )内に残します。また、負記号(-)は、そのペア組み合わせから前項と後項とも正となるから、結局
Hφ=(IΔl/4π){(jκ/r)+(1/r^2)}sinθ・e^-jκr
となって 最終の式(2.7)を得ます。
【重要】
指数関数であるeのべき乗の微分・積分の意味合いについては、
指数関数e^xの数学上の意味と微分積分学の計算
https://jo3krp2.seesaa.net/article/201006article_2.html
を参考としてください。
これを読めば、なぜ交流回路で、jωが付くのかを理解できます。
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