【補足-2】電界の行列式&偏微分計算~前半~:ワイヤーアンテナ本にある理論(結果)式の導出(16)

 磁界計算と同様に、アンテナ本では式の展開が省略されている部分の説明です。前回も述べましたが、教科書あるいは、工学図書では式の展開の詳細について記載することは、紙面の関係もあって省略されています。この式の展開部分が理解できないと、結局、最終式の理解ができていないことになります。多分、学校の授業では、その省略されている部分を先生が黒板に書いて、それを学生達はノートに書き写すことが日常だったと思うのです。ただ、残念なことに当時のノートは既に破棄しています。それなので先生の解いた部分を自分自身で解くか、別の参考図書などから拾い出してくるしかありません。しかし、今回の部分は、アンテナ本内にその式の肝となる部分をメモ書きしていたため解読できました。
(本論)
磁界の計算と同様に
1 行列式の分解
 ここでもサラスの方法によって、第一行を先頭とする各方向成分別の2行2列行列式とします。

(1)r方向成分;Er
 | ∂/∂θ     0  |
 |            |
 |  0    rsinθHφ |
 この行列式を分解しますと
(∂/∂θ)rsinθHφ - 0
 これに行列式の前にある項、{1/(jωε・r^2・sinθ)}が掛かりますから
Er={1/(jωε・r^2・sinθ)}・(∂/∂θ)rsinθHφ ...①
となります。

(2)θ方向成分;Eθ
  | 0     ∂/∂r  |
 r|           |
  |rsinθHφ   0   |
 
 =r{0-(∂/∂r)rsinθHφ} 
 こちらも{1/(jωε・r^2・sinθ)}が掛かりますから、rは分子rと分母r^2で分母のrだけが残ります。

θ={1/(jωε・r・sinθ)}・{-(∂/∂r)rsinθHφ}
 -(∂/∂r)の-1を前に持ってきますと前回もとめたEθ式と同じになります。
θ=(-1/jωεrsinθ)・(∂/∂r)(rsinθ・Hφ)

(3)φ方向成分;Eφ
   | ∂/∂r   ∂/∂θ   |
rsinθ|            |
   |  0     0   |

 =0
∴Eφ=0です。

2 微分式の解法について
 前回の磁界計算に比べると難易度が上がり、微分の基本公式だけでは歯が立ちません。
(1) Er成分における偏微分式部分
①式
Er={1/(jωε・r^2・sinθ)}・(∂/∂θ)rsinθHφ ...①
の後ろ部分のθの偏微分式、(∂/∂θ)rsinθHφへ 
Hφ=(IΔl/4π){(jk/r)+(1/r^2)}sinθ・e^-jkr  ....(2.7)
を代入して、
(IΔl/4π)・(∂/∂θ)[ { r (sin^2θ)}・{(jk/r)+(1/r^2)}・e^-jkr] ...②
∂/∂θ内のrは分母と分子で約分して、(jk)+(1/r)となり、
これとe^-jkrは、θと関係ないので偏微分式だと定数扱いで外に出せます。
すると∂/∂θ内には、sin^2θだけとなり、偏微分式から常微分式に変わります。 

  IΔl    1      d
②=───(jk+──)e^-jkr・(──sin^2θ)
   4π    r      dθ
ここで、
 y=(d/dθ)sin^2θ として使用するのが、合成関数の微分法です。
 u=sinθ とおくと
 dy/dθ=(dy/du)・(du/dθ)
    =(du^2/du)・(dsinθ/dθ)
    =2u・cosθ
 uを元へもどしますと
 y=2sinθ・cosθ
 となって求まります。
 これをErの元の①式に戻しますと
Er={1/(jωε・r^2・sinθ)}・(IΔl/4π)
     ・(jk+1/r)・e^-jkr・(2sinθ・cosθ)

Er={IΔl/(jωε・4π・r^2 sinθ)}
     ・(jk+1/r)・e^-jkr・(2sinθ・cosθ)
 上式から(jk+1/r)外の係数の共通項を前に出して、整理しますとsinθは分子と分母で打ち消し合って消えます。
 また、e^-jkr とcosθは順番を変えて、(jk+1/r)の後ろに位置します。
 最後に1/r^2 を(jk+1/r)内へ入れてやりますと

Er=(2IΔl/jωε4π)(jk/r^2+1/r^3)cosθ・e^-jkr ....(2.10)
が求まります。

 まだEθの計算が残っていますが、そちらも分量があることから今回はここまでとし次回とします

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